地盤調査の義務化はいつからなのか、2000年から事実上必要とされるようになった背景や根拠を解説します。4つの調査方法や地盤改良工事が必要なケース、調査を怠った際のリスクも紹介します。
地盤調査の義務化はいつから始まったのか、住宅を建てる前に調査が必要なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。1995年1月に発生した阪神淡路大震災では、多くの住宅が倒壊し多くの方々が犠牲になりました。その教訓から2000年に建築基準法が改正され、住宅の新築時には地盤調査が事実上必要とされるようになりました。
この記事では、地盤調査が必要とされるようになった時期と背景、調査方法の種類、地盤改良工事の考え方や工法、調査を怠った際のリスクを順に解説します。調査の精度が地盤改良工事の要否に関わる点もお伝えします。
地盤調査はいつから必要とされたのか?
地盤調査は、一般的に住宅の設計や基礎の仕様を決める前に行います。地盤の状態によって基礎の構造や地盤改良工事の要否が変わるため、住宅の計画を進める段階で調査結果を確認しておくことが重要です。
地盤調査が事実上必要とされるようになったのは、2000年からです。ただし、法律に「地盤調査を必ず行わなければならない」と直接定められているわけではありません。基礎を適切に設計するために地盤の強さを把握する必要があることから、住宅を新築する際には地盤調査が事実上必要となっています。
根拠となるのは、建築基準法施行令の第38条と第93条です。
第38条:「建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない」
⇒つまり、地盤の地耐力が十分にあり住宅荷重が地盤にかかっても沈下することが無いかを確かめる必要があることを示しています。
第93条:「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によって地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない」
⇒国土交通省告示1113号には、10種類の地盤調査手法が示されています。この中から地盤調査方法を選定し地盤の許容応力度(地耐力)を調べる必要があります。
地盤調査の義務化のきっかけとされるのが、先に説明したように1995年の阪神・淡路大震災です。多くの住宅が被害を受け、地盤の状態や強度を把握する重要性が広く認識されました。
地盤調査が義務化される前は、地耐力を十分に確認せずに住宅を建てるケースもあり、軟弱な地盤に何の対策も実施せず建築してしまう事がありました。
このような住宅では、地震時に被害が大きくなったり不同沈下してしまったりする懸念がありました。
こうした背景から、2000年の建築基準法改正では地盤の強さに応じて基礎形状や地盤改良工事の工法を決めることが求められるようになりました。
同年4月には、住宅の品質確保の促進等に関する法律、いわゆる品確法も施行されています。品確法により、新築住宅の基礎や柱などの不具合について、施工会社や売主は引き渡しから10年間の責任を負うことになりました。
地盤の沈下などに起因する不具合も責任の対象となり得るため、施工会社にとって着工前の地盤調査は重要です。なお、民法上は2020年4月の改正で「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」へ改められましたが、品確法にもとづく新築住宅の10年間の責任は引き続き設けられています。
さらに、2025年4月の改正建築基準法では、木造2階建てなどの住宅も構造関係の審査が必要になり、基礎設計の根拠となる地盤データの重要性がより高まっています。
出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令 第38・93条」
出典:国土交通省「瑕疵担保責任について」
出典:国土交通省「民法(債権法)の改正を踏まえ、建設工事標準請負契約約款の改正を決定・実施を勧告」
地盤調査の主な種類
地盤調査には複数の方法があります。住宅の規模や敷地の条件、求める精度によって使い分けるのが一般的です。代表的な4つの方法について、特徴と適したケースを紹介します。
・ボーリング試験
ボーリング試験は、地面に穴を掘り、地盤の硬さを示すN値を測る標準貫入試験を行う方法です。採取した土から、地層の構成や地下水の状況も確認できます。最も信頼性が高いとされる方法です。
一方、調査には費用と時間がかかるため、戸建て住宅では一般的な調査方法として採用されることは多くありません。主に商業施設や高層マンションなど規模の大きな住宅で用いられ、戸建て住宅を新築する際でも、住宅の規模が大きい場合や地下室を設ける場合などに採用されることがあります。
・スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
スクリューウエイト貫入試験は、旧スウェーデン式サウンディング試験のことです。ロッドにおもりをのせて回転させ、一定の深さまで貫入するのに必要な回転数などから地盤の強さを調べます。比較的安価で短時間に行えるうえ、狭い敷地でも実施できるため、戸建て住宅を新築する際の地盤調査では、最も一般的な方法です。
ただし、土の種類は音や手ごたえから調査員が推定するため、判断にばらつきが出やすい傾向があります。石などの障害物があると、正確なデータが取れないこともあります。
また、3.3cmの細いロッドに最大で100kgの荷重をかけて調査する性質上、軟弱な地盤と判定されることが多く、地盤改良工事が必要と考察されることが多々あるようです。
・スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)
スクリュードライバーサウンディング試験は、SWS試験を発展させた方法です。荷重や回転数に加えて、ロッドを回すのに必要な力である回転トルクや、1回転あたりの貫入量も測定します。SWS試験より多くのデータを取得できるため、土質を推定する際の判断材料が増える点が特徴です。
・表面波探査法
表面波探査法は、起振機で地盤に微弱な振動を与え、表面波と呼ばれる波が伝わる速さから地盤の硬さを調べる方法です。地盤が硬いほど波は速く伝わり、軟弱なほど遅くなります。
SWS試験が、ロッドを地面に貫入させて直径3.3cmほどの「点」を調べるのに対して、表面波探査法は、検出器の間の1~1.5mほどの範囲の地層を「面」でとらえる非破壊調査です。地面に穴を開けずに調査できるため、地盤を乱さずに本来の状態に近い地盤の強さを確認できます。
また、地盤の地耐力に加え地層の傾きや境界も把握できるため、住宅の沈下量を予測することも出来ます。「面」で測定することと沈下量も予測することから、無駄な地盤改良工事判定を無くすことができます。
地盤改良工事を行わない調査専門会社ビイックは、昭和50年代に、この表面波探査法を確立しました。技術開発元として、2つの検出器で振動を受信する2点式の表面波探査法による地盤調査を提供しています。
地盤が軟弱と判定されると地盤改良工事が必要
地盤調査を実施し、地盤が軟弱で住宅を支える力が足りないと判断された場合は、地盤改良工事を行います。地盤改良工事とは、地盤を固めたり、硬い地盤まで杭を打ち込んだりして必要な強さを確保する工事です。
地盤改良工事が必要と判断されれば、基礎工事とは別に地盤改良工事の費用が発生します。ただし、工法や費用は地盤の状態や住宅、敷地条件によって異なります。地盤調査結果をもとに、必要な工事を選定することが大切です。放置すると、不同沈下につながるおそれがあります。
地盤改良工事が必要かどうかは、地盤の強さを示す地耐力だけでは決まりません。住宅の重さや構造、埋立地・盛土地・傾斜地といった敷地の条件もあわせて判断します。
また、同じ敷地でも調査方法によって判定が変わることもあります。
ビイックでは、地盤調査結果のセカンドオピニオンを実施中です。
他社で調査し地盤改良工事が必要と判定され、納得出来ないSWS試験のデータがありましたらビイックまでお送りください。表面波探査法で調査した場合の結果予測をお伝えいたします。
地盤改良工事の主な種類
地盤改良工事には、地盤の状態や住宅の重さ、敷地の条件などに応じて、さまざまな工法があります。住宅で用いられる代表的な3つの工法を紹介しましょう。
・表層改良工法
表層改良工法は、地表の軟弱な部分を掘削し、セメント系の固化材を混ぜて締め固める方法です。軟弱な層が地表から2m程度までと浅い場合に用いられます。小型の重機でも施工できます。
一方で、勾配のきつい土地や、地下水位が改良面より高い場所では施工が難しくなる場合があります。
・柱状改良工法
柱状改良工法は、地中に直径60cmほどの穴を開け、セメント系の固化材と土を混ぜて円柱状の改良体をつくる方法です。軟弱な層が地中2~8mほどの場合に向いています。十分に硬い地盤である支持層がなくても、施工できる場合があります。
ただし、有機質の土では固まりにくい場合があるほか、将来建て替える際に改良体の撤去が必要になる場合がある点にも注意が必要です。
・小口径鋼管杭工法
小口径鋼管杭工法は、鋼管の杭を支持層まで打ち込み、住宅を支える方法です。地中30mほどまで対応できます。3階建以上の重量のある建物から、戸建て住宅の小規模な建物まで対応する事が出来ます。
ただし、支持層を必要とする工法のため、支持層が確認できない場合は適用できません。また、施工方法によっては騒音や振動が発生するため、近隣への配慮も必要です。一般的に、同じ条件で比較すると柱状改良工法より費用が高くなる傾向があります。
地盤調査や地盤改良を怠った際のリスク
地盤調査を行わなかったり、必要な地盤改良をせずに戸建て住宅の新築工事を進めたりすると、さまざまなリスクが生じる可能性があります。主なリスクを確認しておきましょう。
不同沈下
地盤調査や地盤改良が不十分なまま住宅を建てると、不同沈下が起こる可能性があります。不同沈下が生じると、基礎や外壁にひび割れが生じたり、ドアや窓が開閉しにくくなったりすることがあります。住宅の傾きを修復するには大がかりな工事が必要になる場合もあり、修繕費が高額になることも少なくありません。
建築確認への影響
建築確認では、基礎の設計内容が審査されます。地盤調査が行われていない場合、設計の根拠を示しにくくなり、手続きに影響がおよぶ可能性があります。新築工事をスムーズに進めるためにも、必要な調査を事前に行っておくことが重要です。
施工会社の責任
地盤が原因で不具合が起きた場合、状況によっては施工会社や設計者などに補修や損害賠償の責任を問われることがあります。必要に応じ地盤調査会社や地盤改良工事会社が提供する地盤保証の加入も検討しましょう。
資産価値の低下
地盤に問題があり、住宅の安全性や将来の修繕に懸念がある物件は、売却時に買い手から敬遠され、資産価値に影響する可能性があります。住宅の安全性を確保するためにも、地盤調査を行い、必要に応じて適切な地盤改良を検討することが大切です。
まとめ
地盤調査は、2000年の建築基準法改正などを背景に、住宅の新築時には事実上必要とされるようになりました。ボーリング試験やSWS試験、SDS試験、表面波探査法などがあり、それぞれ把握できる情報や特徴が異なります。
住宅を建てる際は、盛土や新設擁壁の有無や住宅の構造などの条件に合った方法で地盤調査を実施し、必要に応じて専門家に地盤調査会社に相談しましょう。
ビイックは、1975年創業の地盤調査専門会社です。表面波探査法にて地盤調査し地盤改良工事を行わないため、地盤調査結果に対して公平に判断します。
また、地盤のセカンドオピニオンサービスを提供しています。
「SWS試験で調査しており、地盤改良工事が必要と判定されてしまうことが多い。」「地盤改良工事が必要と言われたものの、本当に必要なのか判断がつかない」という方、その他、地盤調査方法や地盤改良工事について気になる点がある方も、お気軽にビイックへお問い合わせください。
・地盤のセカンドオピニオンについては、こちらをご確認ください。
・表面波探査法の詳細やビイックについては、こちらをご確認ください。
