その他の地盤調査について

その他の地盤調査について

地すべり調査

日本は、国土の殆どが山岳地です。
地すべり地の調査において、周辺地の地形地質構造の把握や地下水の動向など、必要な情報は非常に多岐に渡り、また経年的な観測を欠かすことが出来ません。ボーリング試験、観測井などによるすべり面の把握等を行わなければなりませんが、所々の地すべり地において同様の体制をとるのはコスト面で問題があると思われます。
このことから、比較的簡易に調査が可能な物理探査を適用していくことが必要となって来るのでは、と考えます。

ここでは、表面波探査法による地すべり地での調査データ例を挙げています。本調査地は山岳地の中腹付近に位置しており、図-1が示す矢印の方向へ全体的に滑動し、地形が変化しているのが見て取れます。

調査地平面図

ボーリング試験位置及びその周辺において表面波探査法を行うことで、面的な情報を短期間の調査で得ることが出来ます(本例の現場作業は、機材搬入も含み人員3名で1.5日仕事でした)。

本例では表層すべりが調査対象であったため、震源には小型起振機を使用しましたが、大規模な地すべり地での調査においては火薬等を震源として用いる必要があります(当社実績あり)。しかし、調査規模の大小に関わらず、当社の表面波探査法により、すべり面の調査は可能であると考えております。

本調査地の地層は、ボーリングデータより地表面から概ね、

  • 表土・未固結堆積層〈第1層とする〉
  • 表土・未固結堆積層(砂礫を多く含む)〈第2層とする〉
  • 凝灰角礫岩(風化)〈第3層とする〉
  • 凝灰岩(風化)〈第4層とする〉

という層序になっています。
すべり面は、岩盤と表層堆積物(あるいは強風化帯)の境界面や破砕帯、高含水比の粘性土などが該当します。
本調査地では、第2層と第3層の境界面がすべり面に相当すると考えられます。
r-4とBor.1との比較の結果、各地層境界はデータに反映されていることが言えます(図-3 ボーリングとの対比図より)。また、これらを考慮して、表面波探査法測点を3断面(r-1~r-2断面、r-1~r-3断面、r-4~r-5断面)に整理したものを、図-2に示します。

表面波探査法の結果断面図
表面波探査法データとボーリング試験結果との対比図

堤体調査

堤体(河川、溜池など)は水みち等が原因となり、弱体化する場合があります。
このような状況を把握するために現況調査が実施され、危険箇所が認められれば対策が講じられています。ここに紹介する調査手法は、従来のボーリングを主体とした点の調査に加えて、面的な状況把握を行うための方法です。
堤体の強度は、水みちの有無や構成している土質によって左右されます。表面波探査法では土質について判断できませんが、速度値により地盤の硬軟を把握することができます。

表面波速度グラフ

古い時期に築造された堤体は、材料にどのような物を使っているか資料が残っていません。また、以前に破堤箇所は、境界面において土質や強度に隔たりがあるため、再度、破堤する可能性が高いと聞きます。

速度の低下が確認され、他の手法などでも明らかに堤体に脆弱な箇所が存在する場合には何らかの対策・復旧工事を行います。
薬液注入工事の場合、施工後に同位置において表面波探査法を行い、施工が良好に行われているのかを確認することができます。
右の図のように、施工前紫色の速度値であったものが、赤色の速度になり、堤体の強度が改善されたことが表面波探査法で確認することができます。

復旧工事後の効果確認

補完調査

現在、公共の工事は年々少なくなってきています。新しい物を建造する時代から維持管理を主体に行う時代に変わってきています。

従来、調査業務の位置付けは、設計のための一要素であるという考え方でした。表面波探査法は、従来の設計に付随した調査だけでなく、工事後の確認、既存のライフサイクルの維持管理に用いることができます。

表面波探査法は、速度値により地盤の硬軟及び層境界を短時間で明らかにする調査方法です。ボーリング調査と比較すると、情報量は少ないです。
ただし、非破壊方式であること、1点あたりの測定時間が短時間であることなどの利点があります。ボーリング調査の補完として行うことで、広範囲の地盤情報を短期間で得ることができます。

ボーリング調査と表面波探査法を併用した管渠布設(推進)工事の計画例

ボーリング調査を密に行うことでより正確な地盤状況を判断できると考えられますが、工期やコスト、周辺環境への影響などを考慮すると、限界があることは否めません。
また、ボーリング調査も経験や知識のある施工者だと、図-1のような結果にはなりませんが、そうでない場合もあります。

表面波探査法を行いボーリングなどの他の調査も合わせて、総合的な判断をおこなうことで、詳細な設計を行うことが可能です。

地盤の種類によっては、種々工事施工後に何らかの変状が生じることがあります(勿論、このようなことは通常無いです)。沖積粘性土や崖錐地帯での工事(推進工事等)は、地表面に沈下等の変状が生じることがあります。これは、土砂の取りすぎや、地盤の攪乱による地耐力の低下などが原因であると考えられます。

推進工事の場合、施工前と施工後にかならず周辺のレベル測量を行い、工事の影響の有無を確認します。
ただし、レベル測量は長期の観察の結果、状況を始めて把握できるものです。表面波探査法により、現状どのような状況なのか、地盤のゆるみなどが生じていないかどうかを判断することができます。

管渠布設(推進)工事に付随した表面波探査法の模式図
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