砂礫質台地とは、砂と礫が混ざった層で構成され、液状化リスクが極めて低く地震時の揺れにも強い理想的な地盤です。山地・台地・扇状地・三角州・自然堤防・埋立地の特徴と、安全な土地選びのポイントを解説します。
住宅を建てるとき、建物を支える「地盤」の良し悪しは長期的な安全性を左右します。地盤が弱ければ、不同沈下や傾きといった深刻な問題を引き起こす可能性があるためです。
実際、住宅の基礎や構造にどれだけ費用をかけても、その下の地盤が軟弱であれば、建物全体の安全性は損なわれてしまいます。
「砂礫質台地」は、住宅建設において理想的といえる頑丈な地盤です。長い年月をかけて形成された安定した地層は、液状化リスクが低く、地震時の揺れにも強い特性を持っています。
本記事では、地形ごとの地盤の特徴を解説し、安全な土地選びのポイントをお伝えします。
そもそも地盤・地形とは何か
土地探しで耳にする「地盤」と「地形」。この2つは似ているようで異なる概念です。
土地の安全性を正しく判断するために、それぞれの意味を理解しておきましょう。
地盤とは
地盤とは、建物を支える土台となる地面そのものです。いわば「建材の一部」で、建物の安全性を決定づける重要な要素といえます。
地盤の強度が不足していると、建物が傾いたり、一部だけが沈む「不同沈下」が発生したりします。不同沈下が起こると、建物の柱や壁に亀裂が入り、ドアや窓が開閉しにくくなるといった問題が生じます。
また、地震が発生したときには、地盤の状態によって揺れの大きさが変わってきます。目に見えない部分だからこそ、専門住宅による調査が欠かせません。
地盤分類の例
東京都では、地盤を12種類に分類し、それぞれの揺れやすさ(増幅率)を数値化しています。硬い岩盤の上にある地盤は揺れにくく、粘土やシルトといった軟らかい土で構成される地盤は、揺れが大きく増幅される傾向があります。
出典:東京都都市整備局「地域危険度一覧表の見方」(https://www.funenka.metro.tokyo.lg.jp/assets/pdf/area-hazard-level/mikata.pdf?2209=#page=1)
地形とは
地形とは、地表面の「形」や「成り立ち」を指します。山地、台地、低地といった区分は地形分類です。
数万年という長い時間をかけて形成された地形は、安定した地盤を持つ傾向があります。逆に、比較的新しい時代に形成された地形や、人工的に造成された土地は、地盤が十分に固まっていないことが多く注意が必要です。
地形を見ることで、その土地がどのような災害リスクを抱えているかも推測できます。
地形分類の例
国土地理院監修のハザードマップでは、地形を山地・台地・低地などに分類しています。
また、土砂災害や洪水などの災害リスクを表記しています。検討している土地の地形分類や災害リスクをチェックしましょう。
出典:国土交通省・国土地理院監修「ハザードマップ」(https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_configuration.html)
こちらの記事では、地盤が強い土地の特徴や探し方を解説しています。
土地選びで押さえておきたい!地形ごとの地盤の強さ
ここからは、具体的な地形ごとに地盤の特徴を見ていきます。
それぞれのメリットとリスクを理解することで、土地選びの判断材料になります。
出典:国土地理院「主な地形分類と自然災害リスクの対応関係」(https://www.gsi.go.jp/common/000252071.pdf)
山地の地盤
山地とは、標高500m以上の山間部や丘陵地です。地盤は古い地層で構成され安定していますが、宅地化には「切土」や「盛土」といった造成工事が必要です。
切土部分は元の地盤がそのまま残るため安定していますが、盛土部分は土を盛って人工的に作られた地盤のため不安定です。盛土は時間の経過とともに圧密沈下が起こりやすく、数年から数十年かけて徐々に沈んでいくこともあります。
切土と盛土が混在する造成地では、不同沈下が起こりやすくなります。建物の一方が切土の上、もう一方が盛土の上に建っている場合、盛土側だけが沈んでしまい、建物全体が傾く原因になります。
このような土地を検討する際は、造成図面を取り寄せて、切土と盛土の境界がどこにあるかを確認することが重要です。
台地の地盤
台地は、低地より標高が高く平坦で、水害リスクも低く、地盤として良好な状態です。台地の多くは数万年から数十万年という長い時間をかけて形成されており、地層がしっかりと固まっているという特徴があります。
関東地域の台地は「関東ローム層」に覆われており、液状化の危険性も低い特徴があります。
ここで注目したいのが「砂礫質台地」です。
砂礫質台地とは、砂と小石(礫)が混ざった層で構成される台地です。河岸段丘や海岸段丘として形成され、表層に厚い砂礫層を持っています。
砂と礫が長い年月をかけて固まった砂礫層は非常に安定しており、建物の基礎として理想的といえるでしょう。粒子同士がしっかりと噛み合っているため荷重を均等に分散でき、水はけがよいため液状化リスクも極めて低くなっています。
砂礫質台地が液状化に強い理由は、その粒度構成にあります。液状化は、地下水で飽和した砂質地盤が、地震の揺れによって液体のようになる現象です。
しかし、砂礫質台地のように礫が多く含まれる地盤では、粒子同士の噛み合わせが強く、地震時にも粒子の配列が乱れにくいため、液状化が発生しにくいのです。
また、地震時の揺れにも強い地盤です。武蔵野台地や下総台地の多くは、この砂礫質台地に分類されます。
扇状地の地盤
扇状地は、山地から平地に出た河川が砂礫や小石を堆積させてできた地形です。山の出口を頂点として、扇形に広がっていることから「扇状地」と呼ばれます。
砂礫を主体としているため、地盤は比較的強固です。ただし、谷の出口に位置するため、大雨や洪水時には土石流のリスクがあります。
扇状地の土地を検討する際は、ハザードマップで土石流警戒区域に指定されていないかを必ず確認しましょう。
三角州の地盤
三角州は、河川が運んできた粘土や砂が河口付近に堆積してできた軟弱地盤です。
三角州の地盤は、山地や台地と比べると圧倒的に軟らかく、軟弱地盤の典型例といえます。粘土や砂が堆積している層は固まっていないため、建物の重さを支える力が不足しがちなのです。
標高が低いため水害のリスクが高く、台風や豪雨時には浸水の危険性があります。また、地震時には揺れが増幅されやすく、液状化現象も起こりやすい傾向があります。
三角州に住宅を建てる場合は、地盤改良工事が必要になることがあります。地盤調査を適切に行い地盤の固さを調べて、建物の規模に応じて適切な工法を選択する必要があります。
自然堤防の地盤
自然堤防は、河川が運んだ砂や砂利、礫が堆積してできた地盤です。河川が氾濫したとき、流れの速い本流付近では粗い砂や礫が堆積することから、周囲より少し高い帯状の地形が形成されます。
自然堤防の地盤は比較的安定しており、古くから集落として利用されてきました。砂や礫が堆積しているため、三角州や後背湿地と比べると地盤は強固です。また、排水性に優れています。
しかし、自然堤防は河川の近くに位置することが多く地下水位が高いことが多いため、液状化のリスクに注意が必要です。
埋立地の地盤
埋立地は、沼地や河川跡、海などを人工的に埋め立てて造成した土地です。自然に堆積してできた地盤ではないため、必ず地盤調査を実施して地盤の固さを調べることが重要です。
過去には建築廃材や瓦礫を使って埋め立てられた土地もあり、不同沈下のリスクがあります。
また、埋立後の経過年数も重要です。埋め立てられてから数十年以上経過した土地は、ある程度地盤が固まっている可能性がありますが、埋立後20年未満の新しい埋立地は、まだ地盤が安定していない可能性が高いといえます。
埋立地では、液状化のリスクにもとくに注意が必要です。埋立材料として砂が使用されている場合、地下水位が高いと、地震時に液状化が発生しやすくなります。
埋立後20年未満の新しい埋立地に住宅を建築する際は、以前どのような土地だったのか、どのような工法で造成されたのかといった履歴を調べ、地盤調査を実施し適切に地盤対策を実施することが重要です。
土地選びの際には地質を調べておこう
ここまで紹介した地形の分類は、あくまでも「ひとつの目安」です。
いずれにおいても地盤調査を実施して、適切な地盤対策を実施することが重要です。
地盤調査とは
地盤調査とは、建物を建てる前に地盤強度を調べる作業です。地盤がどれだけの建物荷重まで支えられるのか、建築した建物がどの程度沈下する可能性があるのかを測定します。
2000年の建築基準法改正以降、木造住宅を含むすべての建物について、地盤調査が実質的に義務化されました。建築基準法施行令第38条では、地盤が変形することにより建てた建物が沈下することが無いか、第93条では国土交通大臣が定める方法にて地盤調査を実施し、地盤の固さを定めることが示されています。
出典:e-GOV法令検索「建築基準法施行令第38条及び第93条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338/#Mp-Ch_3-Se_2)
地盤調査の主な方法
住宅建築で多く実施されているのが「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」です。先端にスクリュー状の器具を取り付けたロッドを地中に貫入させ、その抵抗値から地盤の強度を測定します。低コストで実施できますが、硬い層があるとそれ以上深く調査できなかったり、実際より軟弱な判定が出やすく地盤改良が必要と判定されやすい弱点があります。
そこで注目されているのが「表面波探査法」です。地表面から振動を与え、その伝わり方で地盤を詳しく調べます。深度1mm、支持力1kN/㎡単位の高精度な調査で沈下予測も可能であり、無駄な地盤改良工事を防ぐことができます。
ビイック株式会社が提供する表面波探査法では、改良不要率が88%に達しています。地盤調査の方法によって結果も費用も大きく変わるため、セカンドオピニオンを活用することも賢い選択といえます。
まとめ
地盤の強さは地形によって大きく異なります。砂礫質台地のような強固な地盤を選ぶことは理想ですが、どのような土地であっても、正確な地盤調査を行うことが大切です。
ビイック株式会社では、表面波探査法による地盤調査や、地盤調査のセカンドオピニオンサービスを提供しています。
また、近隣地盤情報を照会できる「GAIA」を通じて、検討中の土地周辺の地盤データを確認することも可能です。
後悔しない住宅づくりの第一歩は、足元の地盤を知ることから始まります。
表面波探査法のパイオニアであるビイックまで、ぜひお気軽にご相談ください。
ビイックでは、地盤調査に関する相談や他社で地盤調査を行ない納得できない地盤調査データが御座いましたらお送りください。地盤調査のセカンドオピニオンを受け付けております。