地盤沈下の原因は何?メカニズムと生活への影響・予防策を解説

地盤沈下の原因は、広域的なもの(地震・液状化・地下水の汲み上げ)と局地的なもの(圧密沈下・工事の影響)の2種類に分けられます。地盤沈下による建物の被害と、地盤調査・改良工事による予防策を解説します。

新築住宅を建てる際、地盤の状態は、家族の安全と資産価値を左右する重要な要素です。「自宅の床が傾いている」「壁にひび割れが増えてきた」といった症状は、地盤沈下の可能性を示す変化かもしれません。
地盤沈下が生じると、建物が傾いたり基礎にひび割れが入ったりするだけでなく、めまいや頭痛などの健康被害、資産価値の大幅な低下を招きます。

本記事では、地盤沈下がなぜ起こるのか、暮らしにどのような影響が出るのか、地盤調査・改良工事による予防策を解説します。

そもそも地盤沈下とは?
地盤沈下とは、地盤が徐々に沈んでいく現象です。

環境基本法では、公害の類型として「地盤の沈下」が列挙されており、これは大気汚染・水質汚濁などと並ぶ「典型7公害」のひとつとされています。

地盤沈下には、広い範囲で地盤が沈む「広域的な地盤沈下」と、建物や土地の一部分だけが偏って沈む「局地的な地盤沈下(不同沈下)」があります。

出典:e-Gov法令検索「環境基本法」第2条第3項(https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000091#Mp-Ch_1-At_2)

地盤沈下が起こる原因
地盤沈下を引き起こす要因は、ひとつではありません。発生する範囲や沈み方によって、原因の傾向が異なります。

広域的な地盤沈下では、地震による地殻変動や液状化、地下水の過剰な汲み上げなどが主な原因になります。

一方、局地的な地盤沈下(不同沈下)では、盛土による圧密沈下や近隣工事による地盤強度の低下などが原因になることがあります。

ここからは、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

広域的な地盤沈下の原因
広域的な地盤沈下は、市や町といった広いエリアにわたって地盤が沈んでいく現象です。

主な原因は、自然要因である地震と人為的要因である地下水の過剰な汲み上げなどが主な要因です。

地震による液状化現象や地殻変動
地震が発生すると、地殻変動によって地盤が隆起したり沈降したりします。

2011年の東日本大震災では、岩手県陸前高田市で約0.84m、宮城県牡鹿半島で約1.2mの地盤沈下が観測されました。
また、地震による液状化現象も地盤沈下の原因になります。液状化とは、地震の揺れによって地盤を構成する砂粒の結びつきが弱まり、地盤が液体のように流動化する現象です。

地下水位が高い砂質地盤で起こりやすく、沿岸部や埋立地などではとくに注意が必要です。液状化が起こると、地中の砂や水が地表へ噴き出し、地盤が急速に沈下することがあります。東日本大震災では、千葉県浦安市などで大規模な液状化が発生しました。

地下水の過剰な汲み上げ
地下水の過剰な汲み上げは、広域的な地盤沈下を引き起こす代表的な人為的原因です。

地下水を大量に汲み上げると地下水位が下がり、地中の粘土層などに含まれる水分が抜けていきます。その結果、地層が収縮し、地盤全体が沈下します。

高度経済成長期には、工業用水として大量の地下水が使用され、東京や大阪などで広い範囲にわたる地盤沈下が見られました。東京の下町低地では、海抜0m地帯が形成されるほど地盤沈下が進行しました。

その後、1956年の「工業用水法」や、1962年の「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」によって、地下水の採取が規制され、地盤沈下は沈静化の傾向にあります。

局地的な地盤沈下(不同沈下)の原因
局地的な地盤沈下は、土地全体ではなく、一部分だけ沈み方に差が出る現象です。建物が傾いたり、基礎や外壁にひび割れが生じたりするおそれがあります。

主な原因としては、地盤が時間をかけて圧縮される「圧密沈下」と、近隣工事などによる地盤強度の低下が挙げられます。

圧密沈下(経年圧密)
圧密沈下とは、時間がたつにつれて、地盤や建物の重さによって地盤内の水分や空気が徐々に排出され、地盤が押し固められて沈下する現象です。

とくに、盛土や擁壁の埋戻し土のように人の手が加わった地盤、水を多く含む地盤、粘土層が厚い軟弱地盤では起こりやすくなります。

圧密沈下は、数年間長い時間をかけて徐々に進行します。そのため、最初は目立った異常がなくても、時間の経過とともに建物の傾きやひび割れが徐々に現れることがあります。

新築住宅でも、建築後数年で不同沈下が発生するケースがあります。そのため、建設前に正確な地盤調査を行い、地盤の状況に応じた基礎工事や地盤改良を行うことが重要です。

工事による地盤強度の低下
近隣で行われる工事が原因で、不同沈下が発生する場合もあります。

たとえば、マンション建設や地下掘削工事で地盤を大きく掘り下げると、周辺地盤のバランスが崩れ、地盤沈下につながることがあります。

これは、工事の影響で地中の均衡が崩れ、周囲の土が流れ出したり、地盤を支える力が弱くなったりするためです。大規模な地下駐車場やマンションの基礎工事で十分な土留め対策が取られていない場合、周辺の地盤が崩れ、近隣建物に被害が及ぶおそれがあります。

このような外部要因による地盤沈下は、自邸だけで完全に防ぐことは困難です。そのため、工事発注者、または工事施工業者に対して、工事施工前に家屋調査(レベル測定及び建物の内側、外観、敷地状態等を写真等に記録する)を依頼しておくことをお勧めいたします。

地盤沈下によって起こり得る被害
地盤沈下は、建物や生活環境にさまざまな被害をもたらします。

物理的な損害だけでなく健康被害などのリスクがあります。

地盤沈下による建物の不同沈下の対策
地盤沈下が進行して建物が不同沈下すると床が傾いたり、ドアや窓の開閉がしづらくなったりします。

建物の基礎や外壁には、ひび割れ(クラック)が発生します。構造的なクラックは建物の強度に関わる重大な問題で、放置すれば雨漏りの原因となり、劣化を加速させます。

不同沈下した建物の修繕には多額の費用がかかりますので、地盤調査会社などが提供する地盤保証に加入することをお勧めします。

尚、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)では、6/1000以上の勾配の傾斜があるときに構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高いとされています。この基準から、多くの地盤保証の保証適応範囲の傾きは、5/1000~6/1000以上となっていることが多いようです。

但し、地盤保証は、地下水のくみ上げなどの外的な要因は免責となりますので注意が必要です。
先に説明したように大量に地下水をくみ上げるような大規模な工事が予定されている場合は、家屋調査を依頼することをお勧めいたします。

インフラへの影響
地盤沈下は、ライフラインにも深刻な影響を及ぼします。地下に埋設されたガス管や上下水道管は、地盤の動きによって破損したり、接続部が離脱したりしやすくなります。

ガス管が破損すれば、ガス漏れによる火災や爆発の危険性が高まります。上水道管が破損すれば水の供給が止まり、下水道管が損傷すれば汚水の逆流や悪臭の発生につながります。

これらの修復には時間がかかり、復旧まで日常生活に大きな支障をきたします。

人への影響
地盤沈下による建物の傾きは、住んでいる人の健康にも影響します。床が傾いた建物で生活を続けると、めまいや頭痛、吐き気などの症状が現れることがあります。

これらの症状は、平衡感覚をつかさどる三半規管が、常に傾いた状態に適応しようとして体に負担がかかるためです。傾きの度合いによっては、食欲不振や睡眠障害につながるともいわれています。

地盤沈下の兆候を見逃さず、早期に対処することが重要です。

地盤沈下を防ぐためにできること
地盤沈下の原因によっては、事前に備えることで防げる場合も少なくありません。

建物を建てる前に十分に地盤を調査し、土地の特徴を把握して適切な対策を講じることが重要です。

地盤調査
地盤沈下を防ぐ第一歩は、専門会社による地盤調査です。地盤の強度や特性を正確に把握することで、必要な対策が分かります。

一般的な地盤調査としては、スクリューウェイト貫入試験(SWS試験)が挙げられます。
SWS試験は、3.3cmのロッドの先端に円錐状の先のとがったスクリューポイントを取り付けて最大100kgの荷重を加え垂直に地面に貫入させます。その沈み方から地盤の硬軟や締まり具合を調査します。
ロッドは25cmごとに区切られており、それぞれの深さでロッドに荷重をかけ回転させながら貫入させ、半回転数を記録しN値や地耐力に換算します。この操作を繰り返し行い、地盤の状態を連続的に把握していきます。
限られたスペースでも調査が行え、半日程度と短時間で完了するため、戸建て住宅において広く採用されています。

ただし、住宅よりも重い荷重をかけて地盤を壊しながら計測することから、本来地盤が持っている地盤の固さよりも過少に評価されてしまうことがあります。また、逆に地中に石などの異物がある場合、それを硬い地盤と評価されてしまう事もあります。

そこで注目されているのが、ビイックが提供する表面波探査法です。ビイックは表面波探査法の技術開発元であり、独自に2点式の探査法を採用しています。これは地表面に起振機で振動を与え、その波が伝わる速度から地盤の硬さを測定する方法です。

ビイック株式会社は、表面波探査法の技術開発元として50年以上の実績を持ち、独自の2点式計測を採用しています。この2点式では、1cm単位の地層境界や1kN/㎡単位の地耐力を精密に算出し沈下量まで計算できる地盤調査方法です。

この地盤調査方法の最大の特徴は、住宅の地盤調査として数多く採用されており精度の高さから無駄のない基礎判断ができる点です。
無駄の無い基礎判断を実施することで、建築コストを大幅に削減できる可能性がある地盤調査方法です。

すでに別の業者で表面波探査法以外の地盤調査を実施している場合でも、ビイックにセカンドオピニオンを依頼できます。地盤調査結果に不満を感じる場合は、ビイックのご相談ください。表面波探査法で調査した場合の結果予測をお伝えいたします。
*セカンドオピニオンは、無償にて実施しております。表面波探査法による地盤調査は、有料となります。

地盤改良工事
ビイックでは地盤調査の結果から軟弱であると判断した場合、地業や地盤改良工事を提案いたします。提案する主な工法は、下記の通りです。
・床付け転圧:根切り底を転圧する工法です。表層部の地盤強度を均一にします。
・部分砕石置換:地盤強度が不足している一部分を砕石で置換える工法です。
・シート工法:基礎下の砕石にユビファシートを敷設し、砕石層のせん断強度を高める地盤補強工法です。
・表層改良工法:深さ2m程度までの軟弱な地盤に固化剤を混ぜ補強する工法です。
・柱状改良工法:深さ8m程度までの地盤に固化剤を混ぜ柱状に補強する工法です。
・小口径鋼管杭工法:支持層がより深い地盤に鋼管の杭を打設し補強する工法です。

ビイックでは、表面波探査法による正確な地盤判定にもとづき、土地の状態に応じた最適な工法を提案することで、なるべく過剰な改良工事避ける基礎判定を行っています。

まとめ
地盤沈下は、地震の影響や地下水の過剰な汲み上げや圧密沈下など、さまざまな要因によって起こります。
まず地盤調査を行なって、地盤の地耐力を調べることが重要です。

ビイック株式会社では、表面波探査法の技術開発元として、50年ほど前から表面波探査法による地盤調査と地盤保証を行ってまいりました。現在は、他社の地盤調査結果に対するセカンドオピニオンサービスも提供しています。
安心できる住まいづくりは、建物を支える地盤の状態を正しく把握することから始まります。地盤に不安を感じている方や、建築前に地盤調査を検討されている方は、表面波探査法のパイオニアであるビイックへお気軽にご相談ください。

ビイックでは、地盤調査に関するお見積りやセカンドオピニオンなどの相談を受け付けております。詳細は、こちらよりご相談ください