地盤調査結果の見方とは?SWS試験の特徴と「改良が必要」と言われたときに確認したいポイント

SWS試験による地盤調査の結果では、所定の深度で自沈層があると軟弱地盤と判断され、慎重な判断が必要となり地盤改良工事が必要と判断されることがあります。荷重や自沈層、推定土質といった項目の意味を整理し、元田んぼや造成地など、地盤が弱くなりやすい土地の特徴も解説します。

地盤調査は、家を建てる前に、その土地が住宅を安全に支えられるかを確認するために行います。調査が終わると「地盤調査報告書」が届きますが、専門用語が多く「これはどういう意味なの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。

とくに「地盤改良が必要です」と言われたとき、本当にその判断が正しいのか確認したいという方は多いはずです。この記事では、住宅の地盤調査で多く利用されているSWS試験の仕組みと、調査報告書の各項目の読み方を分かりやすく解説します。

地盤調査とは?なぜ家を建てる前に必要なのか
地盤調査とは、住宅を建てる予定の土地が、その重さを安全に支えられるかどうかを確認するための調査です。

「家族が安全に長く暮らせる家を建てるためのリスク確認」と理解しておくと、報告書を読む際の視点も変わってきます。地盤が十分な強度を持っていない場合、住宅が不均一に沈む「不同沈下」が起きることがあります。不同沈下が進むと、次のような不具合につながるおそれがあります。

・ドアや窓が開閉しにくくなる
壁にひび割れが生じる
・床が傾く
・めまいや睡眠の不調など、体調面に影響が出る

このようなリスクを防ぐためにも、家を建てる前に地盤の状態を確認し、必要に応じて適切に対処することが大切です。法的な観点からも、地盤調査は重要です。住宅の安全性を確保するため、関連法令では次のような内容が定められています。

・建築基準法施行令第38条・第93条:基礎の設計にあたり、地盤の許容応力度を確認すること
・住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第94条・第95条:新築住宅に10年間の瑕疵担保責任が課されること

地盤について適切に確認・対処することは、住宅の安全性を確保し、家族の暮らしを守るうえで欠かせない責任のひとつです。

出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令第38条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338)
出典:e-Gov法令検索「住宅の品質確保の促進等に関する法律 第94条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000081)

地盤調査は「家が安全に建つか」を確認するための調査
建築基準法施行令第93条にもとづき、基礎を設計する前に、地盤の許容応力度(土地が単位面積あたりに耐えられる荷重)を把握することが求められています。

どれだけ丈夫な住宅を建てても、それを支える地盤が不十分であれば安全とはいえません。地盤調査は「家を建てるための土台確認」そのものです。

住宅の地盤調査で採用数が多い「SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)」
住宅の地盤調査で広く採用されている方法が、SWS試験です。かつては「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていましたが、令和2年(2020年)10月に現在の名称へ変更されました。古い書類では旧名称が使われることもあるため、同じ試験を指していると覚えておきましょう。

先端がキリ状になった鉄の棒(ロッド)を地面に差し込み、おもりの重さや回転数によって地盤の硬さを測定します。費用が安価で、調査時間も短いというメリットがある一方、ロッドを回転させながら住宅以上の荷重をかけて計測します。

その特徴から、条件によっては地盤の強さが実際より低く評価され、地盤改良判定につながるケースがある点も知っておくとよいでしょう。調査結果の妥当性に不安がある場合は、表面波探査法など、別の調査方法で確認するセカンドオピニオンも選択肢になります。

地盤調査報告書の見方
報告書のチェックポイントは「土地条件」「地盤の強さ」「土の種類や感触」の3つです。ひとつずつ確認していきましょう。

〇土地条件に関するチェックポイント
地盤の数値を読む前に、まずは、その土地の来歴や造成状況を確認することが大切です。

盛土されている土地かを確認する
盛土とは、低い土地に土を盛って造成した状態のことです。十分転圧したとしても盛土材によって年月とともに圧密沈下したりしやすく、住宅の傾きやひび割れの原因となります。

とくに盛土造成から1~2年以内の土地は地盤が安定していないため、改良工事が必要になるリスクが高まります。

〇地盤の強さに関するチェックポイント
ここが報告書の核心部分です。複数の指標を組み合わせて地盤の強さを評価します。

荷重(Wsw)|どれくらいの重さで沈んだかを見る
荷重(Wsw)は、ロッドを地中に25cm貫入させるためにかけた荷重です。最大で1kN(≒100kg)の荷重をかけます。

荷重をかけただけでロッドが沈んでいく層を「自沈層」と呼び、地盤状況によって軟弱な地盤である可能性があります。どの深さで何kNの荷重により自沈しているかが、改良判断のカギとなります。

半回転数(Nsw)|地盤の硬さを確認する
半回転数(Nsw)は、ロッドを25cm貫入させるために、ハンドルの半回転数を1mあたりに換算した数値です。回転数が多いほど硬い地盤、0の場合は、自沈層を意味します。報告書のグラフでは、右方向へ伸びているほど硬い地盤、左側に寄っているほど軟らかい地盤と読み取れます。

換算N値|地盤の強さを数値で判断する
換算N値は、荷重(Wsw)と半回転数(Nsw)をもとに算出される、地盤の硬さを示す指標です。数値が大きいほど、硬く強い地盤を意味します。

住宅建築では、換算N値が3を下回る層が続くと、軟弱な地盤として改良を検討する場合があります。また、換算N値が3〜5程度の層が続く場合も、住宅の規模や各測点の地層のバランスなどよって慎重な判断が必要です。

自沈層の有無|おもりだけで沈む軟弱地盤に注意する
自沈層があっても、それだけで即座に地盤改良が必要になるわけではありません。重要なのは「どの深さに」「何kNの荷重で」自沈しているかです。

国交省告示1113号において下記自沈層が存在する場合は、地盤が変形しないか確かめること、つまり沈下量を計算してその結果も考慮することとされています。

・基礎の底部から下方2m以内の距離にある地盤に1kN以下で自沈する層が存在する
・基礎の底部から下方2mを超え5m以内の距離にある地盤に0.5kN以下で 自沈する層が存在する

SWS試験では、地盤改良工事を施工することで地盤の変形(沈下量)に対する対応とすることが多いようです。
このことが、SWS試験で地盤改良工事判定が多くなる要因です。

支持力(qa)|住宅を支えられる地盤か確認する
支持力(qa)は、換算N値をもとに算出した、地盤が単位面積あたりで支えられる荷重の目安です。

単位はkN/㎡で、木造2階建てではおおむね20kN/㎡以上、3階建てでは30kN/㎡以上が基礎設計の目安となります。この値が基礎直下の層で基準を下回る場合、地盤改良が検討されます。但し、ほとんどの場合、前項目で説明した国交省告示1113号に従った自沈層の有無で地盤改良工事の必要性が検討されています。

〇土の種類や感触に関するチェックポイント
多くの報告書では、調査中のロッドの感触や音も記録されています。これらは、地盤の性質を読み解く重要な情報です。

推定土質|粘性土・砂質土・礫質土の違いを知る
報告書には「推定土質」として、粘性土・砂質土・礫質土(れきしつど)などの区分が記載されています。土質によって地盤の特性や注意すべきリスクが大きく異なるため、それぞれの違いを把握しておくことが大切です。

・粘性土:粘土や泥のような土。圧縮されると、ゆっくり沈下する「圧密沈下」が起きやすい
・砂質土:砂粒を主体とした土。水分が多いと、地震時に液状化しやすい
・礫質土:砂利や小石を多く含む土。比較的安定した強い地盤であることが多い

なお、SWS試験で示される土質は、あくまでも「推定」です。ロッドを貫入させたときの音や感触、換算N値などをもとに推定しているため、正確な土質を確認するには、別途、土質サンプリングなどの調査が必要になります。推定値には一定の限界があることを念頭に置いておきましょう。

音・感触|「ストン」「ガリガリ」から地盤状態を読む
報告書の「音・感触」欄に記録された言葉から、地盤の性質が読み取れます。

・ストン/スルスル:おもりだけで落ちていく自沈層のサイン。軟弱地盤を示す
・シャリシャリ:砂質土の摩擦音
・ガリガリ/ジャリジャリ:礫が多く、比較的硬い地盤であることが多い
・無音:粘土質の地盤

「ストン」が浅い層から続いていれば、表層近くから軟弱な層が続いている可能性があります。一方で「ガリガリ」が多ければ、比較的安定した礫質の地盤であると読み取れます。

地盤改良が必要になりやすい土地の特徴
報告書を受け取る前から、土地の来歴や周辺環境によってリスクをある程度予測できます。次のような特徴に複数当てはまる土地は、数値がボーダーライン上にある場合でも慎重な判断が必要です。

田んぼ・沼・池などの土地は、有機物や水分を多く含む柔らかい地層が残りやすく、地盤が弱いケースが多くあります。古地図や国土地理院の地図で、過去の土地利用を事前に確認しておきましょう。

地名も手がかりになります。「沼」「池」「川」など、さんずいのつく漢字を含む地名や「芦」「柳」など湿生(しっせい)植物にちなむ漢字を含む地名は、かつて水辺だった可能性があります。近年に変更された地名(ニュータウンなど)は、変更前の地名も調べておくとよいでしょう。

地形的には、低地・埋立地・川沿い・海沿いは地下水位が高く、液状化リスクも高い傾向があります。また、造成後間もない盛土は地盤が安定しておらず、改良が必要になるケースが多くなります。

まとめ
地盤調査報告書は、今回解説した荷重・半回転数・換算N値・自沈層・支持力・推定土質・音と感触の7つのポイントを押さえることで、ご自身でもある程度読み解けるようになります。

ただし、SWS試験は、住宅の重さ以上の荷重をかけながら計測することや地盤の変形(沈下量)の検討を行わないことが多いことから、不要な地盤改良判定が出るケースがあります。判定の妥当性を確認したい方には、表面波探査法によるセカンドオピニオンという選択肢があります。表面波探査法は、地盤に過剰な荷重をかけず地盤に振動を与えてその伝わり方を解析する方法で沈下量も計算することから、SWS試験では把握しにくい地盤本来の強さを正確に評価できます。

また、地盤の固さだけでなく地盤の沈下量(変形)も計算する為、無駄な地盤改良工事判定が無くなる特徴があります。

ビイックは、この表面波探査法の技術開発元として30年以上にわたり、地盤調査・地盤保証を手がけてきた実績があります。地盤の判定結果にご不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

・セカンドオピニオンの詳細は、こちらからご確認いただけます。
・表面波探査法の詳細は、こちらからご確認いただけます。