皆様は地盤調査についてご存知のことと思いますが、今一度そのリスクや調査方法について一緒に学んでみませんか。
調査を行い、地盤状況を正しく判断した上で、家を建てましょう。

判定基準 表面波探査法の結果と基礎提案

「調査結果表」で説明したように、表面波探査法の結果から、地盤の支持力を算定することができます。
これは、言い換えると、調査地の地盤は、地表面から住宅を支えることができる力をもった地盤が存在するのか、それとも、0.3mの深さから存在するのか、もっと深く5mの深さから存在するかを明らかにすることができるということです。
調査地の地盤がもつ支持力について判別できたら、この結果を建築基準法における“地盤の基準”にあてはめます。
下の表は、建設省告示第1347号 “建築物の基礎構造及び構造計算の基準を定める件” からの抜粋です。

20kN/㎡以上~30kN/㎡未満杭基礎を用いた構造、又はべた基礎

20kN/㎡未満の場合 杭基礎を用いた構造
30kN/㎡以上 杭基礎を用いた構造、べた基礎又は布基礎

例えば、支持力20kN/㎡の地盤が地表面付近から存在する場合は、特別な工事等をせずべた基礎を選定することで住宅を建てることができます。

支持力20kN/㎡の地盤が、地盤の深いところに存在する場合は、杭により住宅荷重を支えたり、種々工事をおこなうことで、地盤の支持力を増大させなければ、住宅を建てることができません。

また、沈下量計算結果も考慮します。建物が沈下し傾いてしまうことを、不同沈下といいます。建物の傾きが顕著になると、居住者が通常の生活を営むのが困難になります。

下の表は、「小規模建築物基礎設計の手引き 日本建築学会出版」からの抜粋です。

段階 不同沈下障害の状況 傾斜の限度
初期段階 モルタル外壁・コンクリート犬走りに亀裂が発生する 1/1000
第1期段階 つか立て床の不陸を生じ、布基礎・土間コンクリートに亀裂が入る。 3/1000
第2期段階 壁と柱の間に隙間が生じ、壁やタイルに亀裂が入る。窓・額縁や出入り口枠の接合部に隙間が生じ、犬走りやブロック塀等外部構造に障害が生じる 5/1000
第3期段階 柱が傾き建具の開閉が不良となる。床が傾斜して支障を生じる。 10/1000
最終段階 柱の傾斜が著しく倒壊の危険がある。床の傾斜もひどく使用困難である。 15/1000

地盤の状態が現況どのようになっており、どのような対策をすることで住宅を安全に築造出来るようになるのかを、表面波探査法の結果、現場の周辺状況、既存資料調査結果などから総合的に判断させていただいております。

コツをつかんでしまえば読むのはカンタン

造成間もない盛土地盤は落ち着くまでに時間が生じます。また、擁壁の埋め戻し部などの不安材料を無くすには工夫が必要になります。
住宅の真下の地盤だけではなく、周辺全体について考慮し、長期的に住宅に深刻な瑕疵が生じないことを念頭において判断するのが大事です。