地盤調査から着工までの期間は地盤改良の要否で変わり、調査結果が出るまでの目安は数日から1週間です。地盤調査自体は半日から1日で終わります。調査方法ごとの特徴や着工準備で必要な手続きもあわせて解説します。
家を建てる際、目に見えない地盤の状態は誰もが気になるところです。
地盤が弱ければ、不同沈下や地震時の二次災害につながるおそれもあり、土地選びの段階から不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
地盤調査の結果次第で、着工までの期間や必要な地盤改良工事の内容は大きく変わります。この記事では、地盤調査から着工までの流れを時系列で整理し、調査方法ごとの特徴や地盤改良が必要になる基準についてわかりやすく解説します。
地盤調査から着工(基礎工事の開始)までの流れ
地盤調査から着工までは、地盤調査・地盤改良・着工準備・着工という4つの工程を経て進みます。それぞれの工程にどのくらいの期間がかかるのか、順を追って見ていきましょう。
1:地盤調査
地盤調査は、土地の引き渡しを受けたあと、建物の配置がある程度決まった段階で行うことが一般的です。尚、瑕疵担保責任保険の設計施工基準では、建物配置の4隅付近で調査することと記載されています。また、地盤保証でも4隅付近と重心位置で調査することが規定されていることがあります。
現地での測定作業自体は、半日から1日程度で終わることがほとんどです。ただし、測定したデータをもとに地盤の強さや沈下の可能性を解析し、報告書にまとめるまでには、数日から1週間ほどかかります。健康診断にたとえると、検査そのものはすぐに終わっても、詳しい結果表が届くまでには少し時間がかかるというイメージです。
なお、建築基準法では、建物の設計にあたって地盤の強さを確認することが事実上義務づけられています。この調査結果をもとに、基礎の仕様や改良工事の要否が判断されます。
2:地盤改良(必要な場合)
地盤調査の結果、地盤の支持力、いわゆる長期許容応力度(地耐力)が不足していると判断されると地盤改良工事が必要になります。国交省告示1347号では、長期許容応力度による基礎形状について以下のように定義されています。
| 長期許容応力度 | 基礎形状 |
| 20kN/m²未満 | 杭基礎 |
| 20kN/m²以上30kN/m²未満 | 杭基礎、ベタ基礎 |
| 30kN/m²以上 | 杭基礎、ベタ基礎、布基礎 |
杭基礎は、文字どおり杭を打ち込む工法です。地盤が弱いため、万が一地盤沈下が起こった場合でも杭で建物を支えます。
ベタ基礎は、建物の底面全体で荷重を受け止める「面」の工法であるのに対し、布基礎は、柱の下など一部で支える「点」の工法です。弱い地盤ほど、ベタ基礎や深い層で支える杭基礎で施工する必要があります。
ただし、支持力の数値だけで工法が決まるわけではありません。沈下のしやすさや周辺の状況もあわせて、総合的に判断することが重要です。
3:着工準備
地盤調査の結果が出るまでには、数日から1週間程度かかります。この間に着工準備を並行して進めておくと、住宅建築全体のスケジュールを無駄なく進められます。
着工準備には、主に以下のような内容があります。
・地鎮祭:土地の神様に工事の安全を祈願する儀式です。地盤調査を先に行い、結果を待つ間に済ませておくとスムーズに進みます。
・近隣への挨拶回り:着工後は工事の音や振動が発生します。事前に近隣に挨拶をしておくことが大切です。
・水道やライフラインに関する手続き:着工にあわせて、必要な引き込み工事などの手配を進めます。
なお、地盤調査よりも先に地鎮祭を行う地域や施工会社もあります。担当者に確認しておきましょう。
4:着工
地盤調査・地盤改良・着工準備がすべて整うと、いよいよ着工です。
着工の最初の工程は「遣り方」と呼ばれる作業で、建物の位置や高さの基準を敷地に示します。いわば、これから建てる家の設計図を、実際の土地の上に写し取るような作業です。
この基準にもとづいて基礎工事が始まり、コンクリートの打設や養生を経て、建物の骨組みを支える土台(基礎)がつくられていきます。
地盤調査の方法ごとの概要と期間
地盤調査には複数の方法があり、建物の規模や土地の状況によって適した方法が異なります。ここでは代表的な3つの調査方法を紹介します。
ボーリング試験
ボーリング試験は、地面に穴を掘って土のサンプルを採取しながら、地盤の状態を深い位置まで詳しく調べる方法です。マンションやビルなど、大規模な建物の調査に多く用いられます。ただし、調査費用が高額なため一般住宅建築に採用されることは、ほとんどありません。
スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
SWS試験は、直径3.3cmの鉄の棒を地盤に垂直に差し込み、おもりの重さや回転させたときの回転数から地盤の強さを調べる「点」の調査方法です。装置が比較的小型で、狭い土地でも実施しやすいことから、現在もっとも普及している住宅向けの地盤調査方法となっています。
また、鉄の棒を回転するトルクから土質を判定するスクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)という方法もあります。
所要時間は現場の状況によって幅があります。2時間から3時間程度で終わることもあれば、測定箇所が多い場合は半日程度かかることもあります。
表面波探査法
表面波探査法は、地盤に小さな振動を与え、その振動が伝わる速さから地盤の硬さを調べる方法です。地面に穴を開けずに計測できる非破壊の調査方法のため、土質そのものの固さが分かる性質があります。
この表面波探査法は、ビイックが開発した独自の技術です。
起振機を使って表面波と呼ばれる地震波を人工的に発生させ、地表面に設置した2点のセンサーで受信して地盤中を伝わる地震波の速度を計測します。地震波の速度が速くなるほど固い地盤、速度が遅くなるほど軟弱な地盤であることが分かります。
測定する範囲は、1m~1.5mほど離れた2点のセンサー間で、SWS試験の3.3cmと比較すると「面」の調査方法となります。
表面波探査法は、地盤を「面」としてとらえる調査方法であること、建物を建てた後にどの程度沈む可能性があるかを表す沈下量まで計算することから、無駄な地盤改良工事判定が無くなる特徴があります。
そのため、他の地盤調査方法では、地盤改良工事が必要と判定された場合でも何も地盤改良工事をしないか、軽微な地業で済むことがあります。
ビイックが実施した表面探査法による地盤調査では、地盤改良工事が不要と判定される割合が88%にのぼります。
なお、最終的な地盤判定は、地盤調査のデータだけでなく各資料調査や現場状況、周辺状況等なども考慮する必要があります。
ビイックは、長年地盤保証を運営し創業50年以上のノウハウを蓄積しています。実際の解析をビイックが手がけているかどうかで、判定結果が変わることがあります。依頼先(地盤判定をビイックが行っているか)を選ぶ際は、この点もあわせて確認しておくと安心です。
地盤改良工事の方法ごとの概要と期間
地盤調査の結果、地盤改良工事が必要と判定された場合には、地盤の状態に応じた工法が選ばれます。地盤によっては、高額な地盤改良工事が必要となることがあります。
本当に地盤改良工事が必要か悩んだときは、ビイックにセカンドオピニオンを依頼してみましょう。
但し、どうしても地盤改良工事が必要な地盤もあります。ここでは、代表的な地盤改良工事について解説いたします。
表層改良工法
表層改良工法は、地表からおよそ2mまでの比較的浅い範囲が軟弱な場合に選ばれる工法です。セメント系の固化材を土に混ぜ合わせながら、一定の厚さごとに締め固めて地盤を固めます。改良する範囲が浅いため、工期は短めで、費用も抑えやすい傾向にあります。
柱状改良工法
柱状改良工法は、地表から2mから8m程度の深さに軟弱な層がある場合に用いられる工法です。セメント系の固化材を地中に注入して現地の土と混ぜ合わせ、円柱状の補強体を複数つくって建物を支えます。
地盤の中に何本もの支柱を立てて、建物を支えるようなイメージです。表層改良工法よりも深い層まで対応できる一方、地盤の性質によっては固化不良が起こる可能性もあります。
小口径鋼管杭工法
小口径鋼管杭工法は、最大で深さ30m程度まで対応できる工法です。表層改良工法や柱状改良工法では届かないほどの深い位置に支持層がある場合に選ばれます。
鋼管を地中に打ち込み、十分な支持力のある層まで届かせることで建物を支えます。鋼管を打ち込む際には騒音や振動が発生しやすいため、近隣への配慮がとくに求められます。
まとめ
地盤調査から着工までの工程は、地盤調査の結果次第で変わります。不確定な要素が多い工程だからこそ、信頼できる調査会社を選ぶことが、スムーズな着工とコストの無駄を防ぐ鍵となります。
なお、多くの調査・地盤改良会社では、不同沈下などに備えた地盤保証制度を設けています。保証内容や期間は会社によって異なるため、契約前に保証内容を確認しておくと安心です。
他社の地盤調査で改良が必要と判定された場合でも、表面波探査法によるセカンドオピニオンを受けることで、結果が変わる可能性もあります。新築を控え、地盤の状態や調査方法に不安がある方は、ビイックまでお気軽にご相談ください。
ビイックでは、地盤の専門家として地盤に関するご相談を受け付けております。
お困りの際にはぜひお問い合わせください。