住宅を建てる土地選びの条件として、市街化調整区域や工業専用地域の指定、道路に2m以上接する接道義務、建築基準法上の道路要件の確認が重要です。あわせて地盤調査の必要性も解説します。
理想の土地が見つかっても、法規制のために住宅が建てられない場合があることをご存じでしょうか。土地には、都市計画法や建築基準法によるさまざまな制限があります。家を建てられる土地であるか、購入前に必ず確認しましょう。
この記事では、家を建てる前に必ずチェックしておきたい土地の条件や、主な法規制についてわかりやすく解説します。
その土地、住宅を建てられる?チェックすべき法規制や条件
土地を購入して住宅を建てるときには、法律による規制を確認する必要があります。主に都市計画法と建築基準法によって、用途地域の指定や接道義務などの制限が定められているためです。
購入を検討している土地がどのような規制を受けているのか、事前に把握しておきましょう。
ここでは、住宅を建てるために必ずチェックすべき基本的な条件について解説します。
市街化調整区域に指定されていないか
都市計画法では、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分しています。
このうち市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域と定義されており(都市計画法第7条第3項)、原則として新たな建築物の建築は認められていません。
市街化調整区域は、自然環境の保全や農地の保護を目的として指定されています。ただし、都市計画法第34条にもとづく許可を得られれば、一定の条件のもとで建築が認められる場合があります。
対象の土地が市街化調整区域かどうかは、自治体の都市計画課で確認できます。
出典:e-Gov法令検索「都市計画法 第7条第3項」(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100)
工業専用地域に該当しないか
都市計画法第8条第1項第1号では、市街化区域内に13種類の用途地域を定めることができるとされています。用途地域とは、土地の使い方を区分し、建てられる建物の種類や規模を制限する制度です。
この13種類の中で、唯一住宅の建築が認められていないのが「工業専用地域」です。
工業専用地域は、建築基準法第48条別表第2において、工場の利便性を高めることを目的として定められており、住宅の建築が禁止されています。コンビナートや工業団地として指定されることが多く、一般的な住宅地とは大きく環境が異なります。
出典:e-Gov法令検索「都市計画法 第8条第1項第1号」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100)
出典:e-Gov法令検索「建築基準法 第48条別表第2 用途地域等内の建築物の制限」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201#Mpat_2)
接道義務を満たしているか
建築基準法第43条では、都市計画区域内で建築物の敷地が「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」と定められており、これを「接道義務」といいます。
接道義務が設けられている理由は、災害時に消防車や救急車が通行できる経路を確保するためです。たとえば道路との接続部分が1.5mしかない旗竿地は、価格が安くても建築不可となるおそれがあります。
地方公共団体の条例で、接道義務がより厳しく定められていることもあり、特定行政庁の許可により例外的に建築が認められるケースもあります。
出典:e-Gov法令検索「建築基準法 第43条」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201#Mpat_2)
接している道路は建築基準法の要件を満たしているか
接道義務を満たしていても、接している道路が建築基準法上の道路に該当しなければ建築は認められません。建築基準法第42条では、どのようなものを道路とみなすか、その定義と種類が定められています。
とくに注意したいのが、いわゆる「2項道路」と呼ばれる幅員4m未満の道です。このような道路に面した土地に建物を建てる場合は、道路の中心線から2mの位置まで敷地を後退させる必要があります。これを「セットバック」といいます。
セットバックした部分は道路とみなされるため、建ぺい率や容積率を計算するときの敷地面積には含まれません。つまり、実際に建物を建てられる面積が小さくなります。
また、セットバック部分には門や塀を設置することもできません。
出典:e-Gov法令検索「建築基準法 第42条」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201#Mpat_2)
土地の条件によっては建築に制限がある場合も
基本的な条件をクリアしていても、必ずしも思いどおりの住宅を建てられるわけではありません。
土地の位置や周辺環境によっては、建物の高さやデザイン、規模に独自の制限がかかることがあります。これらの制限は、景観の保護や防災、都市の健全な発展を目的として設けられています。
宅地造成及び特定盛土等規制法(旧:宅地造成等工事規制区域)
宅地造成及び特定盛土等規制法は、2023年5月に施行された法律で、がけ崩れや土砂災害のおそれがある区域における宅地造成工事を規制することを目的としています。
同法にもとづき指定される規制区域では、一定規模以上の造成工事を行う際に、都道府県知事の許可が必要です。許可を得るには、擁壁の設置や排水施設の整備など、安全基準を満たす工事計画を提出しなければなりません。
とくに注意が必要なのは、中古住宅が建っている土地を購入して建て替えを行う場合です。既存の擁壁が現行の基準を満たしていないケースでは、建て替え時に追加の改修工事が必要となる可能性があります。
傾斜地や高低差のある土地を検討するときは、必ず自治体で規制区域に該当するかどうかを確認しましょう。
出典:e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000191)
歴史的風土特別保存地区
歴史的風土特別保存地区は、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)にもとづいて指定される地区です。京都市や奈良市、鎌倉市などの古都で、歴史的価値の高い景観を守るために設けられています。
この地区の中では、建築物の新築や改築だけでなく、宅地の造成や樹木の伐採にも厳しい制限がかかります。
建物を建てる場合は、府県知事(政令指定都市では市長)の許可が必要です。該当する地域で土地を検討するときは、制限内容を事前に詳しく確認しておきましょう。
出典:国土交通省「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」(https://www.mlit.go.jp/toshi/rekimachi/toshi_history_tk_000006.html)
景観地区
景観地区は、景観法にもとづき良好な景観の形成を目的として、自治体が指定する地区です。景観地区内で建築物を建てるときは、建築基準法による確認申請とは別に景観法にもとづく認定を受ける必要があります。
認定では建物の形態や意匠、色彩が景観計画に適合しているかどうかが審査されます。認定を受けずに建築すると、是正命令や罰則の対象となるため、美しい街並みを維持できる反面、建築の自由度が下がる点には注意が必要です。
出典:e-Gov法令検索「景観法」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000110)
高度利用地区
高度利用地区は、都市計画法第8条第3項にもとづいて指定される地区で、土地の高度な利用を促進することを目的としています。
容積率の最低限度が定められていることが特徴で、小規模な戸建て住宅を建てたいと考えても、計画する建物の規模が基準に満たなければ建築できません。
高度利用地区は、駅前の商業地域に指定されることが多く、該当する場合は建築計画に大きな影響が生じます。
出典:e-Gov法令検索「都市計画法 第8条第3項」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100)
風致地区
風致地区は、都市計画法第8条第7項にもとづいて指定される地区であり、都市の自然景観を維持することを目的としています。
風致地区内では、建ぺい率が通常より厳しく制限され、建物を敷地境界線から一定距離以上後退させる「壁面後退」が義務付けられます。
ゆとりある住環境を得られる一方で、建築の自由度が制限されることを理解しておく必要があります。
出典:e-Gov法令検索「都市計画法 第8条第7項」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100)
都市計画道路予定地
都市計画道路予定地とは、都市計画法第11条第1項にもとづいて計画決定された、将来道路として整備される予定の用地のことです。
計画決定の段階では、一定の条件のもとで建築が可能です。具体的には、2階建て以下、木造または鉄骨造といった制限を受けますが、建築そのものは認められます。
ただし、将来道路が整備される際には土地が収用され、立ち退きを求められる可能性があります。
都市計画道路予定地に該当する土地は、周辺相場より安く販売されている場合があります。購入を検討するときは、自治体の都市計画課で事業化の見通しを必ず確認してください。
出典:e-Gov法令検索「都市計画法 第11条第1項・第53条」
(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100)
*こちらの記事では、都市計画道路予定地について解説しています。
住宅を建てる土地では地盤の強さも重要!
法規制は、住宅を法律上建てられるかどうかを判断する基準ですが、法的に建築可能な土地であっても、必ずしも安心して住宅を建てられるとは限りません。とくに重要なのが地盤の強さです。
軟弱な地盤の上に住宅を建てると、不同沈下事故のリスクが高まります。地盤が軟弱な土地では地盤改良工事が必要となり、想定外の費用負担が発生することがあります。
不同沈下事故が発生すると高額な修復費用が必要になります。地盤保証に加入しておくことによって、不同沈下のリスクを担保することが可能です。
土地を購入する前には、ハザードマップで災害リスクを確認するとともに、地盤調査を実施して地盤状況に見合った対策を実施することが重要です。
まとめ
住宅を建てる土地を選ぶ際には、さまざまな法規制や条件を確認する必要があります。市街化調整区域や工業専用地域に該当する土地では、原則として住宅を建てることができず、接道義務を満たしていない土地も建築不可となります。
さらに、建築が可能な土地であっても、景観地区や風致地区の指定によって建物のデザインや規模に制限がかかることがあります。法律や規制の内容は複雑で、専門知識がないと正確に判断するのは難しい場合もあります。
住宅を建てるときは、土地の条件確認とあわせて、地盤強度の確認も重要です。
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