地盤地震

荒川堤防の決壊

以下の動画は、国交省関東地方整備局荒川下流河川事務所が公開した荒川堤防の決壊による洪水を紹介したものです。

この映像内では、降雨による河川の増水・堤防決壊をシミュレートしていました。

ところで、堤防の決壊には地震が影響することがあることをご存知でしょうか。

東北地方太平洋沖地震の際に地盤が液状化して大きな被害が出たことは、報道などでご存知の方も多いと思います。
報道された液状化被害のほとんどは、家が沈下したとか、建築物が傾いたとか実質的な被害でした。

そのほか、河川堤防でも液状化による被害が生じています。
堤体の沈下、変形、横滑りなど様々な変形が生じた場所があり、噴砂現象が見られた場所もありました。
河川堤防のため、地盤内部に地下水が存在し、多くの場所で液状化現象が発生したと考えられます。今後、別の場所で東北地方太平洋沖地震クラスの地震が発生すると、同じような液状化現象が発生する可能性があります。

東北地方太平洋沖地震の発生は、3月でした。雨の多い梅雨時期までに堤体の補修を終える事ができたと考えられます。
ですが、問題の地震が台風到来時期などと重なると、河川の増水という影響を受けて、堤体の決壊へとつながる可能性が生じます。

これを関東地方に当てはめてみると、首都圏では今後30年以内M7クラスの地震発生確率が70%とされています。この地震の震源地次第で荒川堤防の決壊などという事態につながる可能性があります。

最も危険なのが、荒川の水源近くで非常に多くの雨が降ったあと、大地震が発生することです。
普段より増水した川の力と地震の力が堤防に加わることで、許容範囲を超える負荷がかかり、最悪の場合決壊することになります。

もしもそうなると、想定外の一言で済まされない被害が発生する可能性があります。

荒川の動画があったために荒川の堤防を基に話をしてきましたが、利根川、江戸川、多摩川といった河川でも同様なことが生じる可能性があります。

むろん、上記のような仮定は最悪の事態ということになりますので、心配しすぎる必要はありませんが、そういうことも起こりうると考えて、災害に備えるようにしておくことをお勧めいたします。

これは東京を事例としただけで、ほかの道府県でも同様な被害が発生する可能性があります。
河川の氾濫は毎年のようにどこかで生じている災害です。他人事、として忘れてしまうことのないようにしてほしいと思います。

関連コラム