地盤地震学会耐震

南海トラフの巨大地震

昨今、南海トラフの巨大地震に関する記事が紙面上を掲載されていますので、少々このことについて触れたいと思います。

南海トラフの地震について内閣府が作成した17分程度の動画がありますので紹介します。
http://wwwc.cao.go.jp/lib_012/nankai_all.html

南海トラフの巨大地震は、東海地震・東南海地震・南海地震の3つが、連動する地震の事を言います。

5月末ごろから南海トラフの地震に関する記事が新聞や雑誌に掲載されることが多くなっています。
その一例を以下にあげます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fukuwanobuo/20210601-00240556/
https://news.yahoo.co.jp/articles/123b6587a01cc6ad0ce10f5280fd39a9840f7428
https://www.asahi.com/articles/ASP507GVLP50PXLB009.html?iref=pc_ss_date_article
https://news.yahoo.co.jp/articles/e6283cb189f0a45fe6737de27c0adcc8727e4a93

この時期は学会の大会などが行われていることもあって、地震に関する情報が出やすいのだと思いますが、こうした記事が重なると読んだ方の中には心配に感じる人も多いと思います。

南海トラフの地震が騒がれるのは、1854年に安政東海地震・安政南海地震が発生して以降、
1944年に昭和東南海地震、1946年に昭和南海地震が発生ましたが、東海地震が発生していないため、近く東海地震が発生する懸念があるためです。
この東海地震が発生すると、他の震源域でも地震が発生し、巨大地震になる可能性があります。

1854年発生の安政東海地震・安静南海地震より前は、1707年の宝永地震、1605年の慶長地震、1498年の明応地震、1361年の正平・康安地震と100年程度の間隔で続いていると考えられています。

1944年の100年後といえば2044年で23年後であることと、長い間東海地震が発生していないことで、南海トラフの巨大地震の発生が騒がれている要因です。

もっとも、宝永地震より前の地震については残されている記録が不確かであり、正確な震源域は明確ではありません。
このため、上に記載した地震がすべて南海トラフによる地震であるとは断言できないのが現状です。
このため、南海トラフの全域が動くような地震が次回必ず発生する、などとはとても言えません。備えておく必要がある、という程度だと考えています。

国が南海トラフの地震や首都圏直下型地震よりも発生確率が低いと考えられていた、兵庫県南部地震、新潟県中越地震、熊本地震、北海道胆振東部地震といった地震が発生しています。

現段階で地震発生の予知は、できないと研究結果から公表されています。
これは政府が公表している主だった地震だけではなく、公表されていない場所で発生する地震についても同様です。

いつどこで発生してもおかしくない巨大地震に対して、安心することなく備えておくようにしてください。
「後悔先に立たず」という言葉があります、「転ばぬ先の杖」という言葉もそうです。先人の経験を無にしないためにも、十分な備えをしておくことをお願いいたします。

*アイキャッチ画像として利用したイラストは和歌山県のホームページより引用しました。

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