地震学会

東日本大震災を振り返って津波を考えてみる

2011年3月11日に発生した東日本大震災から11年が経過しました。

この震災では津波によって数多くの方が犠牲になりました。改めて、被害にあわれた方々にご冥福をお祈りいたします。

この大きな被害を教訓に人々の意識は変わったのでしょうか。

先日、トンガの噴火があった際に津波警報や注意報が発令されましたが、実際に避難した人の割合は、3.11で津波を経験した宮城県でも避難対象者のうち1%にも満たない人々でした。

実際に地震の揺れを感じていない、ということもあったのかもしれませんが、1960年に発生したチリ地震では、地球の裏側で発生した地震にも関わらず、津波が発生し被害の大きかった岩手県、宮城県を中心に100名を超える犠牲者が出ています。

この時、気象庁からは津波予報が発表されましたが、津波が到達してからであり、実質的には役に立ちませんでした。

チリ地震の様に日本から遠く離れた場所に限らず、日本海溝の東側で海底を震源とする地震が起きた場合、揺れはほとんど感じられないが、津波だけが発生する可能性があります。

現在では、気象庁が潮位変化を広く観測しているので、チリ地震の時のようなことは生じないと思いますが、トンガの噴火の時は、津波に関する警報や注意報よりも早く潮位変化が観測されています。

万一、実際に津波が発生して逃げ遅れると避難が困難となります。波高30㎝であっても、寄せ波や引き波で、流れがあれば歩行は困難になることがあります。

揺れていないから避難しない、以前も大丈夫だったから避難しないというのではなく、津波の危険性が公表されたら、すぐ高台に逃げるようにしてほしいと思います。

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