地震学会耐震

東北地方太平洋沖地震から12年

今年も3月11日となり、あの地震から12年が経過したことになります。

未だに行方不明者が二千名を超えており、残されている傷跡は小さなものではありません。

あの地震で最も大きな被害を出したのが大津波です。岩手県、宮城県、福島県、茨城県などの太平洋沿岸を中心に、次々に津波が押し寄せました。

気象庁検潮所で確認の津波高
・福島県相馬市 9.3m以上
・宮城県石巻市 8.6m以上
・岩手県宮古市 8.5m以上
・茨城県大洗 4.0

検潮所で観測できる津波の高さをはるかに超え、実際の津波の高さが観測できない事態になったところも多くありました。

陸地を駆け上がった津波の高さはどれほどだったのか。大学や研究機関の専門家で作る「東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ」が調査した結果です。

・岩手県大船渡市綾里 40.0m
・岩手県宮古市田老地区 39.75m
・宮城県女川町 35.0m
・宮城県気仙沼市本吉町 26.08m
・福島県相馬市尾浜 21.3m
・福島県いわき市泉町下川 15.77m

東北の太平洋沿岸の各地が10メートルを超える巨大津波に襲われていたことが分かりました。

https://www3.nhk.or.jp/…/natur…/natural-disaster_23.html

津波を伴う東北地方の巨大地震については、次のような記事も掲載されています。

<M9級地震「最短150年間隔・死者19万人超」…推定には不確かな部分も>

震災直後は「1000年に1度の規模の地震」と言われた。869年の貞観地震以来という意味だ。国の地震調査研究推進本部は震災8か月後の2011年11月、発生間隔を「550~600年」に縮めた。

津波堆積物の研究成果を見直した結果、2011年と869年の間の15世紀頃にも、日本海溝でM9級の巨大地震があった可能性が出てきたためだ。その後、この15世紀頃の地震は、江戸初期の1611年か室町時代の1454年の地震のどちらかだと考えられるようになった。

菅原さんら東北大チームは震災後、岩手県の三陸海岸沿いで1611年の痕跡を見つけたが、1454年はまだ見つかっていない。一方、海洋研究開発機構などのチームは震災後、日本海溝の水深7500メートルの海底を10メートル掘削し、大地震の影響で降り積もった堆積層「タービダイト」を分析した結果、1454年の地震によるとみられる堆積層を見つけた。

仮に1454年と1611年の両方の地震がM9級だったとすれば、最短の発生間隔は一気に約150年に縮まる。

*地震調査研究推進本部「東北地方の地震活動の特徴」より引用。

東京大の後藤和久教授(46)(堆積学)は警告する。「過去の災害の発生時期や規模の推定には、不確かな部分もある。いつ起きてもおかしくないと考えて、備えてほしい」

https://www.yomiuri.co.jp/…/feature/20230310-OYT1T50021/2/

 

 

以上のような記事から、1000年に一度の地震、という考え方は通用せず、せいぜい150年程度の間隔で津波地震が発生し得る可能性があるということを示しています。

 

先に示した図のように、過去にも多数の地震が発生しており、津波が発生して被害が出たものと、津波は発生したものの被害は生じなかったものがあります。

津波の発生については、地震が発生した深さや断層との位置関係などの要因が存在しますので、一概に論じることはできませんが、津波で被害が出なかった地震は震源位置という運がたまたまよかったから、にすぎなかった可能性があります。

 

次回、発生する地震が前回被害が全くでなかった地震と同じ規模だから、今回も被害は出ない、などと断定できる人は誰もいないのです。

 

むしろ、これだけの地震が発生しているのだから、いつ起きるかわからない次回に備えておく必要がある、そう考えるべきであると思います。

 

ぜひとも、人に言われたから準備するのではなく、自分が必要だと思うことについて準備をしておいて欲しいと思います。

 

最後に、静岡県警察本部警備部災害対策課が公開している「家庭内防災マニュアル」を紹介して今回の話を終わりたいと思います。

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