地盤地震学会耐震

南海トラフの地震

昨今注目されている南海トラフ地震は、それぞれ発生域が異なる東海地震・東南海地震・南海地震の3種類をまとめたものです。これら3つを合わせると、静岡県沖から宮崎県沖に至る1000kmに達する巨大な地震の発生域となっています。

研究者によっては宮崎県沖で終わらずに沖縄本島以西まで続く、南西諸島海溝まで含めて考えるべきだという人もいます。

これは、およそ二千年前に発生した津波の痕跡が、先に述べた南海トラフの3つの地震が連動したよりも大きな津波であったことが確認されたことに由来しています。

この3種類の地震が発生する間隔は、ここに発生する場合が100年間隔。3種類の地震が連動して1度に発生する間隔(南海トラフ連動型地震という)は、300年間隔と過去の事例から言われています。

前回の南海トラフ連動型地震は、1707年の宝永地震であったため、次回に発生するのは連動型である可能性が高いとされています。

南海トラフ地震発生域の東側に位置する駿河湾付近には、富士宮市から静岡市清水区に至る富士川河口断層帯と呼ばれる活断層帯があります。この活断層帯は、東海地震が発生した際に連動すると考えられており、先に記載した南海トラフ南西部に連なる南西諸島海溝と合わせると、南海トラフ連動型地震が発生した時に震源域を大きくすることで、被害を拡大する可能性を秘めています。

このように南海トラフ地震によって他の活断層帯が連動した場合、東日本大震災を超える規模になることが想定されています。

こうした調査結果があるために、南海トラフの巨大地震に備えよう、というキャンペーンが国を中心に実施されています。

 

南海トラフの巨大地震は、過去に何回も生じている日本列島特有の巨大地震です。

繰り返されてきた地震だからこそ、様々な教訓が残されていますし、多様な対策もなされています。

また、有史以来江戸時代、明治、昭和と繰り返されてきた日本海溝沿いの地震(東日本大震災はこれに含まれます)、三陸沖から宮城県沖、茨城県沖のエリアでは、大地震が発生するたびに大きな津波が発生し甚大な被害が生じてきました。

多くの情報提供や注意喚起を促す告知がなされています。

次の南海トラフ地震が生じたときに、これまでに発生してきたような悲劇が繰り返されないよう、皆さんも十分な備えを行って下さい。

自助・共助・公助という言葉が災害時には使われます。まずは自分で何とかして、近隣の人たちで助け合い、公的な支援はそのあとになるということです。この自助の部分を用意しておくことが求められているのです。

災害に備えておくことは、自分の身を守ることになります。是非とも十分な備えをよろしくお願いいたします。

 

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