地盤地震学会

ソーラー発電所についての問題

太陽光パネルを多数設置し、太陽光発電を行うソーラー発電所ですが、問題になっている事例を一つ紹介します。

太陽光パネルに設置は、電気工作物となり建築基準法の適用を受け無いため、通常、建築物を建築する際には必要となる建築確認申請が必要ありません。つまり、行政側の検査を受けることなく簡単に作ってしまえるものなのです。

設置場所に十分な広さがある平地で、安全設備の設置など十分な対策行われていれば建築確認申請が必要なくても問題となることは少ないと考えられます。

しかし、傾斜地に作られる場合、宅造法などで規定されている傾斜地における制限事項が適用されないために問題が生じる可能性があります。

TBSニュースで紹介されたものですが、山梨県甲斐市において傾斜地における山林を切り開いて設置された大規模太陽光発電施設についての問題が報道されています。

住宅街の裏山を伐採し斜面に太陽光パネルを数多く設置しています。設置の際近隣住民に対して十分な説明が無かったばかりか、傾斜地の樹木を伐採し整地しただけでソーラーパネルを設置されており、防災の専門家からは、土砂災害の発生を懸念する声が上がっています。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/274522?display=1&fbclid=IwAR0nvweYApvhw2fhrqZi-hCdvDSd6bOP9L1DgnQWe2czV3buT-XKsniVF_Y

実際に、平成30年の7月豪雨時に兵庫県姫路市での事故事例では、ソーラー発電所構内で土砂崩れが発生し、幅・長さ共に50mに渡って崩壊、土砂崩れが発生しました。

この時には3543枚設置されたパネルのうち、1344枚が破損し、同様にパワーコンディショナーは70台中60台が破損しています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/30/6/30_408/_pdf

このほかにも土砂崩れを伴う災害の発生があり、中には雨水処理の対策工が実施されていなかった場所もあって問題となっています。

傾斜地の地盤を安易にいじって、そのことに対して対応策を講じないまま、ソーラー発電所を作るなどということは、自然災害を誘発して作ったソーラー発電所を壊し、なおかつ周囲の影響を与え、場合によっては交通の遮断や民家に対する被害を引き起こしかねないこととなります。

このため、条例で規制をしている自治体もあります。

近隣の傾斜地でソーラーパネルを用いた発電所が建設される場合には、地盤や環境に対して十分な配慮がなされている計画か、しっかりと確認する必要があると考えます。

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